プログラム概要

本プログラム設置の趣旨

ヒューマンバイオロジー学位プログラム設置の目的

ヒューマンバイオロジー学位プログラム(HBP)は、文部科学「博士課程教育リーディングプログラム」の採択プログラムとして、2011年よりスタートした、5年一貫博士課程大学院コースです。

科学と科学技術は、「真理の探究」を基盤として、「人の健康・安全・幸福」を推進してきた。しかしながら科学・科学技術の巨大化および専門分野の細分化によって、その全体像を俯瞰することはもはや不可能に近い。そのため科学者・科学技術者の研究視野は狭小化しているのが現状である。このことが本来人類の幸福に寄与するはずの科学技術が、「人の健康・安全・幸福」を脅かす地球規模の問題を生み出している一要因であることは否めない。

例えば地球環境の悪化(地球温暖化、水・大気の汚染など)、生活資源(エネルギー、レアメタルなど)の枯渇、人口・食料問題・健康問題・新たな疾患(がん、アレルギー、新興再興感染症など)、人類の活動が引き起こす自然災害などである。

私達は上記の問題の根本的な改善・解決を進めるために、大学院教育において、学生が俯瞰的な視野を持てるような組織的教育を行い、強い問題意識の下で「人の健康・安全・幸福」に寄与する科学技術の発展のために、専門力、目利き力、突破力、完結力を備えた次世代の世界リーダーとなりうる人材養成を行うことが重要であるとの認識に至った。

上記の目的を達するため「ヒューマンバイオロジー学位プログラム」を設置し、医薬農工などすべての人類の活動から発生する低分子化学物質のヒトに対する作用を評価し管理するという課題などの地球規模課題に取組むことのできる人材養成を行う。

例えば、2002年環境サミットで、工業化学物質などすべての化学物質によるヒトの健康への影響を2020年までに最小化するということが合意された。これによって化学物質のヒトに対する安全性を確保することがヒトに投与する化学物質を扱う製薬業のみならず多くの製造業(化学企業、食品、化粧品、農薬など)に必須の課題となった。

また健康美容食品が引き起こす健康被害を解消するために国際的指針に基づくヒト試験を通して安全性を保証するという課題や、化粧品開発において欧州新規制に基づいて動物実験代替検査法を開発するという課題にも通底するものである。

博士課程教育リーディングプログラムとは

博士課程教育リーディングプログラムとは、優秀な学生を、俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわたってグローバルに活躍するリーダーへと導くため、国内外の第一級の教員・学生を結集し、産・学・官の参画を得つつ、専門分野の枠を超えて博士課程前期・後期を一貫し、世界に通用する質の保証された学位プログラムを構築・展開するものです。そのために、大学院教育の抜本的改革を支援し、最高学府にふさわしい大学院の形成を推進する事業です。

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HBPは、博士課程教育リーディングプログラムの最終評価で、最高評価のS評価(計画を超えた取組が行われ、優れた成果が得られていることから、本事業の目的を十分に達成できたと評価できる。)を獲得しています。

平成23年度博士課程教育リーディングプログラム事後評価結果