教育・研究体制

ラボローテーション

HBP履修生は春または秋に、”Basic Experiments in Human Biology”の授業の一環として、 リサーチラボローテーションを行います。

HBP必修科目

Basic Experiments in Human Biology

ヒューマンバイオロジー基礎実験

Human Biologyを担当する複数の教員の研究室で、各教員の研究について、その概要と基本的な実験手法の原理を理解するとともに、実際に基本的な実験手技を学修する。

担当:入江 賢児 教授

なぜ、自分の研究外のラボでの体験を? ~大学は玉手箱~

普段通いなれた研究室にも無限に広がる学術研究の面白い世界が広がっているもの。急いでどんどん先に進みたいというのが人の常。でもちょっと寄り道をして他の世界も体験しようというのが、このBasic Experiments in Human Biology。

新入生が異なった分野の4つの研究室に1週間ずつ滞在して実習します。細菌学しか頭になかった学生が数学のアプローチから生物を見直し、コンピューターの中で生きていた学生がマウスの解剖を行う。そんな衝撃的な体験を通じて、新しい世界への扉が開かれます。あるいは、他を知ることで、さらに自己の確立が促進されます。

大学は玉手箱。全く興味がなかった世界に将来の自己実現の鍵が潜んでいるかもしれません。

顕微鏡下のマイクロマニピュレーターで酵母の胞子を分けているところ(四分子解析)
細胞の蛍光顕微鏡観察

履修生がラボローテーションを行なった研究室と実験内容

研究室名 学修できる実験手技
入江 研究室 Yeast genetics and molecular biology, Gene knockout, Regulation of gene expression, GFP imaging, Yeast two-hybrid
川口 研究室 Protein analysis, cell biology etc.
深水 研究室 Genetics of C. elegans, analytical biochemistry
高橋 研究室 mouse experiment, molecular biology experiment, histological analysis
大根田 研究室 Stem cell analyses, Gene analyses
柳沢裕美 研究室 immunostaining, mouse dissection, western blot, micro dissection system, imaging by confocal microscope
柳沢正史 研究室 EEG/EMG based sleep recording, Fluorescence live cell imaging
加藤 研究室 Cell culture, cell migration, immunohistochemistry, Western blotting/td>
櫻井 研究室 basic programming, basic data analysis, basic machine learning, numerical computation
渋谷 研究室 Flow cytometry, antibody purification, tissue culture, animal experiments with disease models
千葉 研究室 primary culture, imaging, etc
坂口 研究室 In vivo imaging in freely-moving mice; Optogenetic manipulation of neuronal activity; Sleep and Memory analysis

ラボローテーションに参加した履修生たちからのコメント

ラボローテーションで特に驚いたのはそれぞれの研究室の持つ技術だけでなく、研究室の雰囲気そのものが全く異なっていることだった。技術は論文からある程度知ることができても、空気感は実際に行かなければわからないので、非常に楽しい体験だった。

Wakimoto Arata

ラボローテーションでは多くの実験動物を体験する、将来自分の研究室を持つ上で必要な雰囲気づくりやルールなど研究以外の面を知るという明確な目的がありました。3週間通わせていただいた研究室や、論文のFigureになる実験をさせていただいた研究室もあり、大変充実した期間を過ごせました。自分の実験との時間調節は容易ではなく、この期間は深夜まで実験したこともありましたが、それを乗り越えた分成長を実感しています。長期間の海外ラボローテーションも考えているので、それに向けても良いシミュレーションができたと考えています。

藤野三法

生長因子の刺激により細胞応答を蛍光顕微鏡で観察して、かつ遺伝子組み換え線虫を用いて温度などのストレスによって生体応答の全体像を蛍光で観察させて頂き、生命と環境の関係という課題に更に興味が深まって、そして自分の研究にも新しい視点と手段を引き込みました。

L.Sha

ラボローテーションを通じて、様々な分野の研究室で実験に取り組むことができ、専門分野外の知識や新しいテクニック、そして、先生方とのつながりなど、沢山のものを得ることができました。大変有意義な時間を過ごすことができたと思います。

Y.Miura

様々な研究室の研究プロジェクトを知るだけでなく、具体的に使用している実験機器や実験方法及び解析方法を知ることで、自分自身の研究プロジェクトに応用できることは無いかなど、多角的に考える良い機会になります。

Ayana Iijima

好奇心旺盛な学生にとって、ラボローテーションは、科学研究におけるさまざまなアプローチを探求する素晴らしい機会です。有名なオートファジーが発見された酵母の基礎研究から動物研究のトランスレーショナルリサーチまで。この機会を利用して、研究へのモチベーションと情熱を探ってください。

Chandra Louis

免疫学、酵母研究、バイオインフォマティクス、発生学など、基礎から実験まで短期間で指導して頂き、学術的な視野が広がりました。各分野では日常的に使われている手法でも、意外と自分の研究領域では活用されていないものを掘りだせるのではないかという興奮を感じました。

M.Hashimoto

今までマウスを用いた実験しか経験がなかったが、本実習を通して酵母や線虫といった他のモデル生物で野実験を経験し、そのおもしろさや奥深さを知ることができた。また自分の専門とは異なる研究に触れることで、専門の研究を今まではと違った角度から考察できるようになった。

T.Kikuchi

一つの視点だけに固執せず、幅広い方向から物事を考えられる力を養えたと思います。他分野の先生方・先輩方と関われるため、いつもとは違った視点から自分の研究に関してアドバイスをいただける良い機会でもありました。

後藤のはら

Stepping out of the comfort zone and learning knowledge of different fields helped me know my drawbacks and strengths and the lab rotation is such a chance. Discussing with the professors and lab members about what to do but not just following their ongoing projects, I used the rotation as an opportunity to learn experiments that I cannot do in my own lab. Also, the techniques learnt from other labs gave me alternative ways to leverage the knowledge and experience which can even be used to delve deeper into my own study field.

Wenxin Lyu

バクテリアばかり扱っていた自分が、がん細胞から蛋白を抽出したり、マウスの皮を剥いだり、固有値問題を解いたりと、衝撃的な出来事ばかり経験させて頂きました。今振り返ってみると、幅広い視野を持つという点で本当にいい経験だと思っています。

A.Takemura