教員・履修生・卒業生の声
渋谷 彰
生存ダイナミクス研究センター・教授
前プログラムリーダー
2012年から今年の春まで7年間、プログラムリーダーを務めました。この間世界の15カ国から78名の学生をHBPに迎えることができました。創設時は手探りの状況でしたが、今やHBPは学内ばかりでなく、学外でも高く評価されるプログラムとして立派に成長しました。プログラムの成長の軌跡の中に身を置き、多くの優秀な学生と直接交流できたことは、筑波大学の教員として幸運であり、また私の教員人生における大きな誇りでもあります。このプログラムは、当初から文科省の全面的な支援を受けスタートし、さらに現在においても大学からの格別な支援を受けています。また現在1学年わずか8名の定員のプログラムですが、学内外から膨大な数の教員が参画し、事務職員と一体となって運営しています。学生の皆さんには、このようにHBPは恵まれた特別なプログラムであることを常に忘れず、ここで学んでいるという矜持を持って下さい。HBP修了生には、ヒトが人らしく生きる社会の創生を目指した未知の航路の舵取りができる船長になることが義務付けられています。私は、近い将来、世界中の海で、HBPファミリーが縦横無尽に活躍していることを信じて疑っていません。
高橋 智
医学医療系・教授
解剖学・発生学研究室
ヒューマンバイオロジープログラム(HBP)は世界のリーダーを育成するプログラムとして2011年に開始されました。今までの日本の大学院とは異なり、全て英語による教育を行い、英語によるデスカッションが可能な能力を身につけるとともに、海外での研究室や企業ローテーションや実践教育を義務化して、世界で活動できる能力を養うなど、日本の大学院教育を改革する革新的なプログラムです。私はプログラムの申請時から担当をしていて、本当にそのような高い目標を達成できるのかを心配しましたが、これまでの卒業生が、その目標が十分達成されていることを証明してくれています。その実例として、スタンフォード大学、MITやミシガン大学などの海外の有名大学のポスドクに就職した卒業生が複数名おり、その中にはトップジャーナルに現在の所属で論文を発表している人もいます。また、卒業後直ぐに、筑波大学や岐阜大学の教員に採用された学生さんもいます。このようにHBPは真のリーダーを育成するプログラムとして機能しています。是非みなさんも、次の世界のリーダーを目指してHBPに参加してもらえればと思います。
ホー・キョン
医学医療系・准教授
In less than a decade, the HBP had gained recognition as one of the most successful graduate program in the nation and has served as a prototype for the other graduate programs in Japan. The program has attracted students from overseas, with more than 70% of students from abroad. I believe the success of HBP can be attributed to a number of key factors. Firstly the diversity of the faculty members, drawn from the academia, government, and industrial sectors. Students learn interdisciplinary approaches to developing projects towards addressing the big global questions that cannot be approached within single traditional disciplines. Secondly, its unique curriculum, such as the Appropriate Technology Course, and the availability of travel scholarships to attend conferences and training overseas. Aside from the traditional Ph.D. requirements, including a dissertation and advanced communication skills, HBP students need to satisfy two qualifying examinations, which consist of oral examinations focused on the student-written research or business proposals. The former exam is taken in the early stages of the research project to have students think critically about the theoretical and practical aspects of their dissertation project. The later exam is taken on the final year of the program focus on student's original proposal on the topic outside of their dissertation, with the expectation that they will be able to apply for individual funding for their future career. Upon completion of the degree, I am confident that HBP graduates will have an adequate breadth and depth of knowledge to become a global leaders in the emerging field of Human Biology.
矢田 幸博
花王株式会社
サニタリー研究所 主席研究員
ヒューマンバイオロジー学位プログラムに務めさせていただいて、早いもので8年が経ちました。この間、多くの学生さんや先生方と実験を行なったり、活動にも参加させていただきました。また、企業研究者として卒業後に企業での研究を希望される学生さんを支援したり、企業と学生さんの仲介の任も務めてきました。そして、2020年現在、我々も含め、世界中がコロナ禍にいます。パンデミックにより誰もが想像できなかった社会生活の変容、さらには、今後どのようして再構築していくのか、すでに多くの課題が表れています。このような状況で改めて気づいたのは、我々の世代は、これまでの経験や知識を次の世代に伝えていくことは、出来ても全く予想していなかった社会の到来を目にして今後どのように取り組んでいくか、どのように変革すべきか、その指針を次の世代に示せないかもしれないと思っています。これまでと違った社会システムや生活様式を提案、実行していかなければなりません。そういう意味でも現状を打破し、未来志向の若い方々の意欲と取り組みに期待しています。
永田 毅
みずほリサーチ&テクノロジーズ
情報通信研究部 研究主幹
現代サイエンスの最先端で、計算科学を必要としないものは、ごく少数でしょう。私は、民間シンクタンクの技術系コンサルタントとして、様々な顧客の課題を計算科学の力で解決しています。計算科学と言っても、物理シミュレーションから、最適解探索をはじめとする計算数学、信号処理、暗号処理、画像認識、統計解析、機械学習と様々な分野があり、多くの専門家は、他分野のことには詳しくありません。私の強みは、こうした様々な分野における知見・経験が豊富で、課題に対して、多角的に検討を進められるという点にあります。現在人類が直面している課題の多くは、一つの分野の専門家だけでは解決できず、様々な分野の専門家が集まり、多角的に研究を進めていく必要があると考えます。本プログラムは、まさにこうした研究を先導していく人材を育てていくものだと思います。私は、そこに、計算科学が必要不可欠であることを疑いません。私は、本プログラムに、私自身の知見・経験を惜しみなく提供しています。そして、本プログラムにおける計算科学と他分野とのセッションから、人類を導く新しい光が生まれることを楽しみにしています。